高潮について

台風被害は最も頻度の高い災害の一つです。

災害の種類としても様々です。その中で最も予想しやすいものが「高潮」です。
高潮被害が最も発生しやすい条件として、次のようなものが挙げられます。
1.台風の進路方向と風の方向が一致するような進路をとっている場合。
2.中心気圧が低い大型の台風の場合。
3.台風接近が満潮時刻と重なる場合。
4.台風の進路方向と対面する方向に開いた湾を有する地形である場合。
細かなことを言うと、他にも色々あるのですが、基本、上記4つの条件が重なったりすると、高潮被害が発生する危険性が高まります。

1.台風の進路方向と風の方向が一致するような進路をとっている場合。
台風が南から北へ真っ直ぐ向かうとしたら、台風の目よりも東側が最も風が強くなるため、海水が寄せてきて赤潮が発生しやすい。

2.気圧が低いということは、その分の海水を抑える大気圧が低いということですので、その部分の海面が上昇します。その上昇量は1hPaあたり約1cmくらいです。中心気圧が900hPa前後となる大型の台風であれば、静穏な時と比較して1mくらいは海面が上昇します。周りより高くなった海面は風の力で更に高まりやすくなります。

3.台風接近が満潮時刻と重なる場合
これは当たり前のことですが、満潮時は通常時よりも潮位が上がりますから、その分危険が増します。なお、昼の満潮と夜の満潮の潮位は場所・季節などによって全く違うことがあります(日潮不等)。これは、気象庁のページなどで確認することができます。夜間の潮位が高い時に台風接近が重なったら、気が付かないうちに高潮被害を被る、といった危険があります。

4.上記のような条件が揃っても高潮被害が全然発生しないところと発生しやすいところがあります。これは、地形によるものです。高潮発生において地形の効果は極めて大きいため、逆に高潮発生の危険性がある地形は事前に知ることが可能です。基本的には台風進路方向と同じ向きとなるようなV字谷が危険です。こうした点を意識しておけば、高潮災害は少なくとも人的被害は高確率で避けることができます。

台風とは関係しませんが、黒潮の流れる位置が陸寄りにシフトすると、それだけで海面が上昇することがあります。いわゆる「異常潮位」と呼ばれるものの原因の一つです。異常潮位発生時に、上記のような高潮が発生しやすい条件が揃ってしまうと、より高潮被害の発生確率が上昇します。

海面と地面との標高差があまりないような海岸近くにお住まいの場合は、日常から岸壁などで潮位を観察しておけば、異常潮位が発生しているかどうかすぐに気がつくと思います。異常潮位は岸壁に付着している生物が目安の一つになります。干潮時には顔を出し、満潮時には水を被る潮間帯には、カキとかムラサキイガイが付着しています。更にそれよりも高い位置になる潮上帯には直径10mm前後のシロフジツボ(本州以南)などが沢山付着していることがあります。潮上帯を好む種類のフジツボ(他にも数種あり)が満潮時にしっかりと水没していたら、異常潮位発生のサインです。

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