遺跡調査

九州大学箱崎キャンパス内の遺跡調査

遺跡調査の掘削手法提案

遺跡掘削手法

遺跡調査の掘削手法提案

遺跡調査においては、掘削調査の物理的制約を受けることがあります。狭い土地での調査、水位が高い場所での調査、工期の短縮化などの問題を回避可能な地質調査手法のご相談・ご提案が可能です。

遺跡の一部は低平地に集中しています。低平地は水位が高く、深い掘削が困難な場合があります。遺跡調査において一般的なトレンチ調査は、水位が高いとそのままの掘削は不可能であり、仮に実施する場合には、別途、止水対策が必要になります。

また、調査対象となるエリアが水田等であった場合、土地へのダメージが懸念され、用地交渉が困難になるケースも想定されます。また、限られた期間での急ピッチな調査が求められることがあります。

定方位連続地層採取調査法を用いると、水位より下まで地層を幅広く採取することが可能です。そのため、文化層の識別も容易で、ボーリング調査と比較すると、遺物が含まれる確率も高くなります。こうした特性から、試掘調査にも適しています。また、トレンチ調査の底面から採取することで、遺跡が形成されるまでの自然層を連続で採取することができます。採取した地層の古環境解析を行うことで、遺跡成立までの環境変遷や古地理的情報も得られます(後述)。

これまでにも様々な遺跡調査での実績がある調査手法なので安心して活用頂けます。

遺跡成立前後の環境変遷や古地理

遺跡成立前後の環境変遷や古地理

遺跡調査において、理学的手法による地層の観察や分析・解析を行うことにより、環境変遷や古地理・古地形を推定します。それにより、遺跡成立前後の環境変化や地形変化を知り、遺跡成立のストーリーを科学的根拠に基づいて解読することを目的とします。

堆積相解析・・・地層中の堆積構造などを詳細観察することで、自然層部分がどのような場所で堆積したものなのかを調べることが可能です。

化石分析・・・特に縄文海進のピーク期前後は堆積のシステムが大きく変化するため、堆積環境も大きく変化します。海進ピーク期付近の堆積環境は、貝化石、生痕化石等を用いることで、現地調査で即座に判断可能です。さらなる詳細な環境変遷が必要な場合は、調査対象に見合った最善の方法をご提案いたします。

年代測定・・・堆積物中に含まれる植物由来の炭化物や貝殻などを利用したC14年代測定は最もポピュラーな手法です。これらの年代測定対象試料は、堆積時に移動・運搬を被っています。また、貝殻の場合は、海洋リザーバー効果も考慮する必要があります。移動・運搬の過程によっては、実際の堆積年代と大きくズレる可能性を含みます。地層の形成過程を理解した上でサンプリングを行うと、これらのズレを合理的に説明することが可能になります。また、どのサンプルからより適した年代を得られる可能性が高いかを考慮しつつ選定することができます。

上記のような解析や分析は、様々な機関で別個に実施される事が多いですが、それらの結果を突き合わせて総合的に評価するという作業が最も重要になります。

分析・解析のみを請け負うことも可能ですし、総合解釈のみを請け負うこともご希望によって可能です。

自然災害イベントと遺跡の関連性

自然災害イベントと遺跡の関連性

遺跡の保存や消滅は自然災害イベントの発生と密接に絡んでいるケースがあります。継続的に利用されている住居跡などよりも、突発的な土砂の堆積などによって急速に埋められたりすると保存が良好になる確率が高まります。人類史と自然史を総合的に理解することでより確度の高い調査・研究のサポートをいたします。

海岸近くの遺跡は、津波や高潮によって壊滅的なダメージを受けていることがあります。津波は歴史上に知られているような場所以外でも、調査が不十分な地域では新たに津波堆積物として見出されることがあります。

また、同様に河川氾濫による土砂の急激な堆積によって埋没したような遺跡もあります。

これらのイベント性の堆積物は、トレンチ調査を実施している場所であれば、その壁面を観察することで検討することが可能です。